kuma-熊-
そう思ったのが悪かったのかもしれない。
私は気付くと野原にいた。腰辺りまでの背丈の草が一面、眼前に広がっている。あり得ないくらい高い太陽が、強い日差しをもって草いきれを立ち上らせていた。あまりの青臭さに私は思わず一歩、後ずさりする。
どうしてこんな所にいるのか、全く分からなかった。私はついさっきまで部屋で筋トレをしていたはずだった。なのに、どうしてこんな所にいるのか。
空には見たこともないような巨大な入道雲が、これまたあり得ない高さにまで達して私を見下ろしている。普段見慣れているただの太陽と雲のはずなのに、なぜだかどうして、全く違うものに見える。
ここは私が元いたところではない。そうだと分かるほど、それらは異質なものだったのだ。
私は歩き出した。ここにいても仕方がない。とにかく、歩きながら考えることにした。
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