同じもの書き続けてると超飽きるので、ちょっと別のなんか書こうかな、って思って書き始めたら筆が止まらんくなった。せっかく書いたので少しうpしてみる。予告的な何か。
今のP4の書き終わったら次にこれ始めたいけど、まだまだ中身が出来てないので、たそ千戦書きながらゆっくり考えていきたい。一応P3とP4のキャラが色々出て入り乱れる予定。
探偵NAOTO マヨナカアリーナ・ジ・アフター(仮題)
少し長くこの稼業をやっていると、この案件とは長い付き合いになるだろうな、と何となく分かってしまうことがある。そしてそういう時の仕事はもれなくその通りになって、自分のすべてをもってあたらなければならないことが多い。
きっとこの事件もそうなる。ここに立った瞬間からそうした予感めいたものを感じ、今一度気合を入れ直そうと、僕は背筋を伸ばして、大きく息を吐いた。
久々の緊張感に体の芯から震えが来る。高揚感も少しあったが、それは抑えた。そうするのが、犠牲者のいる現場に入る時の最低限の礼儀だと、最近は思うようになった。
「失礼します」
高級マンションの、とある一室。KEEP OUT表示のあるテープをくぐって中に入ると、早速慌ただしく動く警察関係者と何人もすれ違う。
廊下を通ってリビングに入ると、鑑識と思しき人間が数人と、刑事風の男が数人ある一点を見下ろしている場面に遭遇する。おそらくは、そこが現場なのだろう。
どう切り出してそこに入っていこうかと考えていると、刑事風の男の一人が、こちらに気付く。
おお、と少し驚いたように目を見開くと、その人はたっぷり生やした口ひげを撫でながら、口を開いた。
「これは、有名人のおでましだ」
ともすれば嫌味に聞こえなくもないその言葉だったが、本人の声色と、その柔らかな微笑から全く裏のない言葉なのだということがなんとなく分かった。おそらく悪気は一切ないのだろう。
彼のその声に、現場にいた人間が一斉に振り返る。ちょうどいいので、そのタイミングで自己紹介をした。
「白鐘直斗です。今日は、よろしくお願いします」
そう言うと、目の前の彼はニコニコしながら僕の手を取って、強引に握手をした。
正面に立って対峙すると、彼のその大きさに少し驚かされる。簡単に見積もっても180センチ以上はゆうにあるその身長もさることながら、そのカッチリとした服装の下に隠された、かなり鍛えあげられているだろう肉体に気圧された。
白いものが多く混じるその頭からすると、おそらく年は60前後。腹部は出るには出ているのだが、中年男性特有のあのだらしない感じは全くしない。分厚い筋肉の上に、年齢相応の脂肪が少し載っている。そんな感じだ。
そこにいる人間の中で、彼だけが異質だった。他は見れば警察関係者だとすぐ分かるのに、彼だけは纏っている空気が違う。
なんと言うか、こなれていた。スーツの上着を肩に抱え、グレーのフォーマルなウェストコートをしっかりと着こなしながらも、シャツの袖は捲って粋に着崩している。
彼と向き合った時から、僕は感嘆のため息を漏らしそうになるのを、内で必死にこらえ続けていた。
全てが完璧だったのだ。彼の姿は、自分の理想としていた姿そのものだった。
すでにそれを諦めて、自分なりの道を進もうと決めた所にこんなものを見せつけるように出してくるなんて、神様は本当に意地が悪いと思う。消せない憧れの感情と、その姿の眩しさとで、くらくらと目眩まで覚えるくらいだ。
彼は、そんな僕の心内など全く意に介さずに、にこりと微笑んでから、僕をその輪の中へと招き入れた。
「やあ、これはこれは、探偵王子じゃないですか。こりゃあこの事件が解決されるのも、時間の問題だな」
彼とは打って変わって軽口だと分かるそれを言ってのけたのは、その言葉の通りに軽薄そうな刑事だった。まだおそらく30代だろうに、よれよれのシャツと雑に緩めたネクタイのせいで、かなり老けて見える。本当に彼とは対照的だった。
「ちょうど猫の手も借りたいくらいだったんだ。せっかく来たんだから、ありがたく貸してもらおうか」
さすがに耳障りに思って一言返してやろうと思ったが、隣の彼が窘めるような視線を向けると、その男はバツが悪そうに口を尖らせながら、ぷいっとそっぽを向いてしまった。
どうやら彼は、やはり一目置かれている存在らしい。何でも彼を通すのが、この現場でうまくやっていく方法となるかもしれない。
僕はこほんと咳払いをしてから、彼に言った。
「実はまだ、何も聞かされていないもので。よければ概要を教えていただけないでしょうか。ええと……」
見上げると、彼は推し量ってくれた。
「そういえば、自己紹介が遅れたかな。私はオノガミ。尾上雄治郎。よろしく頼むよ白鐘君」
そうして彼から名刺を受け取って、ああ、やっぱりな、と僕は思った。自分が彼から受けた印象は、やはり外れていなかったのだ。
尾上雄治郎。職業、探偵。
自分と同じように、一般人からの依頼を受けることはほとんど無く、主に警察だけでは手に余る事件を手がけているらしい。そうした人が自分以外にもいるとは聞いていたが、本来同業と同じ現場で鉢合わせすることはまず無いので、今回はかなり新鮮な仕事になりそうだった。
悪くすると意見がバッティングしたりして、あまりいい結果にならないんじゃないかと少し思ったが、この人が相手ならそれも大丈夫そうだと思い直した。彼の洗練されたその佇まいと、まるで凪の湖のように知的な光を湛えるその瞳が、そう思わせた。
まだ少し続きあるので、もう少ししたらうpします(´・ω・`)
今のP4の書き終わったら次にこれ始めたいけど、まだまだ中身が出来てないので、たそ千戦書きながらゆっくり考えていきたい。一応P3とP4のキャラが色々出て入り乱れる予定。
探偵NAOTO マヨナカアリーナ・ジ・アフター(仮題)
少し長くこの稼業をやっていると、この案件とは長い付き合いになるだろうな、と何となく分かってしまうことがある。そしてそういう時の仕事はもれなくその通りになって、自分のすべてをもってあたらなければならないことが多い。
きっとこの事件もそうなる。ここに立った瞬間からそうした予感めいたものを感じ、今一度気合を入れ直そうと、僕は背筋を伸ばして、大きく息を吐いた。
久々の緊張感に体の芯から震えが来る。高揚感も少しあったが、それは抑えた。そうするのが、犠牲者のいる現場に入る時の最低限の礼儀だと、最近は思うようになった。
「失礼します」
高級マンションの、とある一室。KEEP OUT表示のあるテープをくぐって中に入ると、早速慌ただしく動く警察関係者と何人もすれ違う。
廊下を通ってリビングに入ると、鑑識と思しき人間が数人と、刑事風の男が数人ある一点を見下ろしている場面に遭遇する。おそらくは、そこが現場なのだろう。
どう切り出してそこに入っていこうかと考えていると、刑事風の男の一人が、こちらに気付く。
おお、と少し驚いたように目を見開くと、その人はたっぷり生やした口ひげを撫でながら、口を開いた。
「これは、有名人のおでましだ」
ともすれば嫌味に聞こえなくもないその言葉だったが、本人の声色と、その柔らかな微笑から全く裏のない言葉なのだということがなんとなく分かった。おそらく悪気は一切ないのだろう。
彼のその声に、現場にいた人間が一斉に振り返る。ちょうどいいので、そのタイミングで自己紹介をした。
「白鐘直斗です。今日は、よろしくお願いします」
そう言うと、目の前の彼はニコニコしながら僕の手を取って、強引に握手をした。
正面に立って対峙すると、彼のその大きさに少し驚かされる。簡単に見積もっても180センチ以上はゆうにあるその身長もさることながら、そのカッチリとした服装の下に隠された、かなり鍛えあげられているだろう肉体に気圧された。
白いものが多く混じるその頭からすると、おそらく年は60前後。腹部は出るには出ているのだが、中年男性特有のあのだらしない感じは全くしない。分厚い筋肉の上に、年齢相応の脂肪が少し載っている。そんな感じだ。
そこにいる人間の中で、彼だけが異質だった。他は見れば警察関係者だとすぐ分かるのに、彼だけは纏っている空気が違う。
なんと言うか、こなれていた。スーツの上着を肩に抱え、グレーのフォーマルなウェストコートをしっかりと着こなしながらも、シャツの袖は捲って粋に着崩している。
彼と向き合った時から、僕は感嘆のため息を漏らしそうになるのを、内で必死にこらえ続けていた。
全てが完璧だったのだ。彼の姿は、自分の理想としていた姿そのものだった。
すでにそれを諦めて、自分なりの道を進もうと決めた所にこんなものを見せつけるように出してくるなんて、神様は本当に意地が悪いと思う。消せない憧れの感情と、その姿の眩しさとで、くらくらと目眩まで覚えるくらいだ。
彼は、そんな僕の心内など全く意に介さずに、にこりと微笑んでから、僕をその輪の中へと招き入れた。
「やあ、これはこれは、探偵王子じゃないですか。こりゃあこの事件が解決されるのも、時間の問題だな」
彼とは打って変わって軽口だと分かるそれを言ってのけたのは、その言葉の通りに軽薄そうな刑事だった。まだおそらく30代だろうに、よれよれのシャツと雑に緩めたネクタイのせいで、かなり老けて見える。本当に彼とは対照的だった。
「ちょうど猫の手も借りたいくらいだったんだ。せっかく来たんだから、ありがたく貸してもらおうか」
さすがに耳障りに思って一言返してやろうと思ったが、隣の彼が窘めるような視線を向けると、その男はバツが悪そうに口を尖らせながら、ぷいっとそっぽを向いてしまった。
どうやら彼は、やはり一目置かれている存在らしい。何でも彼を通すのが、この現場でうまくやっていく方法となるかもしれない。
僕はこほんと咳払いをしてから、彼に言った。
「実はまだ、何も聞かされていないもので。よければ概要を教えていただけないでしょうか。ええと……」
見上げると、彼は推し量ってくれた。
「そういえば、自己紹介が遅れたかな。私はオノガミ。尾上雄治郎。よろしく頼むよ白鐘君」
そうして彼から名刺を受け取って、ああ、やっぱりな、と僕は思った。自分が彼から受けた印象は、やはり外れていなかったのだ。
尾上雄治郎。職業、探偵。
自分と同じように、一般人からの依頼を受けることはほとんど無く、主に警察だけでは手に余る事件を手がけているらしい。そうした人が自分以外にもいるとは聞いていたが、本来同業と同じ現場で鉢合わせすることはまず無いので、今回はかなり新鮮な仕事になりそうだった。
悪くすると意見がバッティングしたりして、あまりいい結果にならないんじゃないかと少し思ったが、この人が相手ならそれも大丈夫そうだと思い直した。彼の洗練されたその佇まいと、まるで凪の湖のように知的な光を湛えるその瞳が、そう思わせた。
まだ少し続きあるので、もう少ししたらうpします(´・ω・`)
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